城本クリニックの美容外科

城本クリニックの美容外科CHAPTER 3美容外科最前線
最新の信頼できる手術法

本書は1999年に書かれたものですので、年号表記や現在の治療内容等が異なる場合があります。

城本クリニックの美容外科 美容外科最前線
発行:株式会社千早書房(1999年3月4日)

10歳以上若い自分を取り戻す若返り手術

若返り手術は、美容外科の中でも近年、めざましい発展を遂げている分野です。若返るということは、かつての自分を取り戻すことに他なりません。

つまり、元の自分に戻るわけで、体を変える(顔が変わる)という美容外科につきまとう、一種の罪悪感に似た感情から拘束されることは決してありません。

超高齢化社会の到来が告げられ、実年齢と活動年齢に開きの出ている今、最も注目されるのがこの若返り手術なのです。

現在、年齢について言われるさまざまなことは、すでに何十年も前の陳腐な常識にすぎません。エイジレス革命も叫ばれている昨今です。戦後50年の間に日本人の平均寿命は世界一になりました。

実年齢と社会での活動年齢の差は少なくても10年以上あるのではと思われます。人によってはそれが一五年の開きにもなるでしょう。

実際、人間の知力は、六五歳くらいまで衰えることがなく充実していくと言います。記憶力は減退するでしょうが、それも努力でまかなうことのできる範囲のことです。老害などと言われつつも、70歳、80歳を過ぎてなお活躍中の政治家や財界人は枚挙にいとまがありません。

また、シワ取り手術の先進国であるアメリカでは、シワ取りは一種のステイタスシンボルのようにもなっており、年を取っても暮らしに余裕のある人は、当然のようにこの手術を受け、快適な生活を過ごしています。

年を取って、シワがあるかないかで、富める者とそうでない者がはっきりとわかるようになってきたというのです。

さて、そこでシワ取りの説明を始める前に、シワにもいろいろあることを知ってもらいます。シワに関する知識を蓄えたうえで、実際の手術法などに触れたいと思います。

シワの種類
部位別分類
皮膚だけに関係のあるシワ:表在性のシワ
皮膚と筋肉に関係のあるシワ:皮膚結合組織性のシワ(老人性のシワ)
機能別分類
外傷性瘢痕によるシワ:ケガやニキビなどの傷跡に現れるシワ
動きによるシワ:表情筋の表情運動によるシワ(額の横ジワ、眉間の縦ジワ、鼻の付け根の横ジワ、目尻のシワなど
重力によるシワ:軟部組織の再編成、萎縮で起こるたるみジワ(あごのたるみジワ-二重あご、首のシワなど)
シワができる場所

皮膚は筋肉とともに伸縮します。ところが、顔は表情をつくるところなので筋肉が非常に多く、そのため、他の部位に比べとてもシワのできやすい所なのです。

したがって表情の豊かな人ほどシワができやすいということになります。よく笑う人やよく怒る人、いらいらしている人にできやすいのです。感情によって特徴のあるシワが刻まれるため、人相学なども発展したのでしょう。

顔は人と人とのコミュニケーションで最も重要な役割を果たしています。顔の印象が第一印象を決定づけてしまいます。シワの多い老けた顔では、潜在的な能力があったとしても、見くびられるようなことも起こってしまいます。

またシワは、筋肉の収縮する方向に直角に走るため、皮膚の余裕のある方向に直行した部位がより目立ちやすくなります。

年齢別によるシワの状態
20代前半
シワはとくに認められない。
20代後半
徐々に皮膚の表面の変化が始まる。(鼻唇溝部、目の周りなど)
30代
上瞼の皮膚に余りが出てくる。
目尻の外側に、俗に言うカラスの足跡という小ジワが出てくる。
頬の皮膚に余りが出てくる。
耳の前の部分に縦ジワが出てくる。
40代
すでにあるシワが深くなる。
鼻唇溝部の膨らみが顕著になる(囗の周りにたるみが出てくる)。
眉間の縦ジワ、前額部の横ジワが目立ってくる。
下瞼の横ジワが目立ってくる。
50代
首のシワが目立つようになる。
下顎の線が見えなくなってくる(たるみがはっきりと出てきて顔の輪p>郭が四角っぽくなる)。
鼻にシワがよりやすくなる。
二重顎が目立ってくる。
60代以降
皮下脂肪、筋肉、骨の萎縮や機能低下が顕著になる。
皮膚は黒ずみ、厚くなる。
上口唇の縦ジワが目立ち(俗に言うちりめんジワ)、目を開けるとき、放射状のシワができ、いわゆる老人性の顔貌になる。
皮膚の老化メカニズム

皮膚は表皮と真皮という二種類の層からできています。この中で、真皮層は皮膚の厚さの95パーセント以上を占めている層であり、これを構成している主成分は繊維状の結合組織(コラーゲン)と弾性組織(エラスチン)です。

エラスチンはゴムのように弾力のあるタンパク質線維でコラーゲンとともに網の目のように絡み合って、張りのある皮膚を形作っています。

しかし、年を取るに従って、コラーゲンやエラスチンの機能が衰え、弾力性を失ってきます。

次に表皮を見てみましょう。表皮は一番上から順に角質層、有縁細胞層、基底層となっています。そして、最下層の基底層で新しい細胞(表皮細胞)が次々に作り出され、上に繰り上かって行くのです。一番外側の角質層で、細胞は死んで、垢となって剥がれ落ちるのです。表皮細胞が基底層で生まれて、角質層で死ぬまでの期間は約二八日だといわれます。これをターンオーバーサイクルと呼びます。けれども、この再生能力(新陳代謝力)はやはり、年とともに衰えていくのです。

この再生能力の低下が老化に関係するようですが、どうして能力が落ちてくるのかはよくわかっていません。

また、加齢とともに、皮膚にある、皮脂腺などの付属器官の機能も衰えてくるため、皮脂の分泌が減り皮膚が乾燥し、皮膚の張りがなくなってきます。

これまで述べた各老化のメカニズムのそれぞれや、総合的な作用によって皮膚にシワ、たるみが出現するわけですが、一度できたものは決して元のようには戻りません。このためさらに老化現象が不可逆的に進んでいくことになるのです。

皮膚老化の要因

皮膚自体の老化のメカニズムは以上の説明でわかったと思いますが、これを早める外的な要因として最も関係が深いのが紫外線です。

紫外線は皮膚に照射されますと、人体に猛毒である活性酸素が発生します。この物質が表皮細胞の新陳代謝を阻害するばかりでなく、真皮のコラーゲン繊維を破壊、硬化させ、弾力性を失わせる結果、皮膚の老化が進むことになるのです。

また最近では、細胞の遺伝子(DNA)が紫外線によって変化(突然変異)させられ、ガン化することも知られています。大気汚染によってオゾン層が破壊されつつあることが問題になっています。オゾン層が薄くなれば、地上に届く有害な紫外線の量がさらに増えることになります。

そうなれば、囗焼けなどおちおちしていられません。いや、現在ですら、囗焼けが許されるのは皮膚の再生能力の高い10代後半までです。紫外線は百害あって一利なし、というわけです。

肌の乾燥も老化の大敵です。みずみずしい肌は角質に十分な水分があります。しかし年を取ると毛細血管の血流が悪くなったり、肌にある様々な分泌腺の働きが衰えてきて、水分も油分も失われることになります。

小ジワの最大の原因は肌の乾燥なのです。加齢により水分の補給が必要になったら、こまめに化粧水などで水分を補給しなければいけないでしょう。

また、血行をよくするためのマッサージも有効だと思われます。体内での新陳代謝は必ず血液を介して行われています。肌のすみずみに張り巡らされた毛細血管に適度な刺激を与えてやりましょう。

外的な要因のほかにも、精神的なストレスが肌の老化を早めることにも注意しなければなりません。ストレスは毛細血管の働きに関係の深い交感神経と副交感神経のバランスを崩しますし、細胞に活力を与えるホルモン分泌のバランスも崩します。いつまでもくよくよと悩むタイプの人は、気分転換をはかることも肌のためには必要なことなのです。

疲れているから、目の周りに隈ができることもあるでしょうが、いつまでも隈ができたことを気にしていると、なかなか消えないことがあります。

気に病むことがストレスになり、睡眠不足も引き起こします。睡眠不足が肌の大敵であることは、女性なら、皆さん経験則としてよくわかっておられると思います。慢性的な睡眠不足ではいつまでたっても隈が取れないことになってしまいます。そんな悪循環を断ち切るためにも、気分や発想の転換はぜひ必要なのです。

絶大な効果が期待できるシワ取り手術

高齢化社会の訪れとともに、シワ取り手術の効果が期待されていることは、すでにお話ししたとおりです。シワ取り手術を行うと、ほぼ確実に約10歳は若返ります。

手術の対象年齢にはとくに制限がありません。一般に高年齡化し、たるみ、シワが多くなればなるほど、より多くの手術操作を施さないと所定の若返り効果が得られにくくなるため、比較的若い時期(20代後半から30代)から控えめの手術を行ってもよいですし、高齢期(50代後半から60代以降)にしっかりとした手術を行い、その大きな効果を楽しむこともできます。

当然のことながら、手術が成功したからといって若さがそのままの状態で永久に保たれるわけではありません。若返った状態から、毎年一歳ずつ年を重ねていくわけですが、これに比例して徐々に老化していきます。

シワ取り手術は年齢を止める手術ではありません。ただし、手術をしていない同年齢の人と比べ、その手術効果は若返った分だけ絶えず存続し、老化の速度も遅くなることははっきりと言えます。

また、一度手術を受けた後、しばらくして再び気になりだしたので手術を受けたいという人も何人もいます。一度シワ取り手術をしたあとでも、再びたるんできたら、再度手術を受けることは可能です。

10年程度の間隔で再手術を受けることで、まるで年齢が止まったかのごとく、若い顔貌を維持することは可能です。

最も確実な頬のシワ取り法(フェイスリフト)

顔のシワで最も目立つものの一つに鼻唇溝と呼ばれるシワがあります。小鼻の脇から、口の横にかけてのシワです。

このシワは、皮下脂肪が豊富で皮膚と表情筋との密着が少ない頬と、皮下脂肪が少なく皮膚と表情筋とが密着している口唇部との差があることと、頬と口唇部のそれぞれの表情筋の走行方向が異なるという二つの原因から生まれます。

このシワに対しては、フェイスリフトという手術が最も効果的です。フェイスリフト手術はすでに19世紀末にヨーロッパで行われた記録が残っています。その後、アメリカで盛んになり確立した方法です。

アメリカではフェイスリフトを行うことが、ステイタスシンボルのようになっていることは先にも述べました。顔の形によってその方法は一様ではありませんが、ここではその説明はさけ、一般的な方法を述べることとします。

この手術は、側頭部の有毛部の中から、耳の直前を切り、耳たぶの下から耳の裹を回って切開し、頬の皮膚の下を剥がしていきます。そして、鼻唇溝のところまで十分に剥がした後、引っ張って、余分の皮膚を切除します。

たんに皮膚だけを引っ張るのではなく、皮膚、脂肪、皮下筋膜・表情筋(専門用語でSMAS)といった組織を三枚おろしのようにしっかりと剥がして、それらをも引っ張り固定するのが、本来のフェイスリフトです。

しかし、ただ、表面の皮膚だけを引っ張り、その余分なところだけを切り取る簡単な手術(単なる切除、縫合術)をフェイスリフトと称している悪質な美容外科も存在します。この簡易な手術では、若返りの程度は微々たるものであり、持続効果も半年かあるいは三か月程度しかありません。手術当初は、突っ張るような感触があるため、シワが消えたと喜びますが、まったくのぬか喜びに終わります。

このようないい加減な手術を患者さんが望んで受けられるのならまだしも、フェイスリフトと聞かされて、術後の結果を期待していたのなら、詐欺以外の何ものでもありません。

本来のフェイスリフトによってどんな効果が得られるかと言えば、まず鼻唇溝のたるみとシワが取れること、それから下顎部の縦ジワと、耳介の前の縦ジワが取れることです。しかしながら、この手術単独では目の真上や真下のたるみを取ることはできません。

シワ取り手術を受ける場合には、どこのシワが取れて、どれほどの効果がいつまで続くのか、しっかりと把握しておかねばならないのです。

フェイスリフトを行っても、厳密な意味で完全にシワを消すことは不可能です。自然な範囲内の若返り効果を狙ったフェイスリフトを受けた場合、ベッドに横になり仰向けに寝たままの状態で鏡を覗いた状態、それが手術後の結果に近いと言えます。ですから手術に過度の期待を持つことは禁物です。

熟練した医師だけができる額のシワ取り

額のシワ取りは、切る場所の違いで二つの方法があります。一つは頭の中(前頭部の有毛部の中)を切る方法、もう一つは生え際を切る方法です。額に横にできる深いシワを取ったり、眉間部の縦ジワを取ったりするのに絶大な効果があげられる手術です。

頭の中を切る方法

頭髪の生え際から、二、三センチメートルぐらい上方の髪の毛の生えているところを切開する方法です。手術後の傷跡が髪の毛に隠れてしまうので目立たないという利点はありますが、手術は、切開部が額から遠くなるため、やや行いづらくなります。

しかも、この方法は熟練した医師によらないと、手術後の頭部がハゲる恐れがあります。シワが取れても、ハゲができたのでは喜ぶこともできません。患者サイドにすれば、裁判に訴えることもできるミスとも言えるため、当然この手術法を行うことのできる医師は限られてきます。

もちろん経験豊富な当クリニックの医師ならば、安心して任せられます。

手順としましては、前頭有毛部を毛根を痛めないように細心の注意で横に切開し、眉毛付近まで(場合により鼻根部近くまで)剥離します。次に、額の横ジワは皮膚のたるみ以外に前頭筋という筋肉の収縮作用によって悪化するため、これを必要十分に切除します。切除しないと、またすぐにシワが再発します。これを十分に切除しておけば、半永久的にシワができなくなりますので、非常に意味のある操作です。

また、眉間部の縦ジワも取りたい場合は、このシワは皺眉筋という筋肉の収縮作用で生じるため、この筋肉も切除することが必要となります。

前述したこれらの筋肉の処理は、すぐ近くを走る神経を損傷させぬよう行わなければならないため、熟練した技術が必要となります。もちろん当クリニックならこれもまったく問題なく任せていただけます。

筋肉の処理が終わって、最後に皮膚を上方外側に引っ張り、余分な皮膚を切除し縫合します。この縫合時に毛根を痛めますと、前述したように確実にハゲてきますから、毛根を避けながら、かつ毛根に十分な栄養が行きわたるように血流が保たれるべく細い針と糸で、細かくていねいに縫合することが肝要です。

生え際を切る方法

生え際を横に切って眉毛の方まで剥がし、皮膚を引っ張って余分な皮膚を切除した後縫い合わせます。

この方法は比較的簡易ですが、傷跡が目立ちやすく最近ではあまり行われなくなっています。

年齢を感じさせる目の周囲のシワ取り

上瞼のシワ

目の周囲、とくに上険の場合は、悩みと言えば視野が狭くなることです。目の周囲の皮膚は外側からたるんで落ちてきます。俗に三角目とか呼ばれますが、皮膚がたるんでかぶさってくるため、目があけにくくなります。

瞼を挙げる筋肉(上眼瞼挙筋)だけでは十分ではないので、額の筋肉(前頭筋)をも使って挙げようっとするので、必然的に、額のシワも出現し、また目と眉毛が離れる特徴的な顔貌になります。

簡単な手術ですが、この額のシワを防ぐ意味でも必要な手術になります。また、たるみによって、視野障害や睫毛内反(逆さまつげ)が生じ、結果として視力低下をもたらすことがありますので、美容上だけでなく健康上の問題からも注意しなければなりません。

上瞼の状態を見てみると、皮膚が伸びることによって二重瞼、三重瞼になる場合と、皮膚が厚く垂れ下がってくる(二重瞼の人はその幅が狭くなってくる)場合があります。

いろいろな手術方法が確立されていますが、余分な皮膚や脂肪を切除して、若いときの一重瞼、二重瞼に戻します。切開線は二重瞼の自然な線に合わせるため、傷跡はほとんど目立ちません。

下瞼のシワ、たるみ

下瞼は、上瞼よりもシワが目立つところです。下瞼のシワやたるみは人に疲れた印象を与えるため、年は取ったけれども、バリバリの現役で活躍中のキャリアウーマンやエグゼクティブタイプの男性などが手術を希望されることが多いようです。年を取っても仕事などで、人と会う機会が多い人にはとくにお勧めします。そのような方々はこの手術をして、見違えるように積極的になられます。

また、最近若い女性で無理なダイエットの影響などで、下瞼にたるみが早々と生じ、眼にクマができたような黒い陰を呈する人が増えていますが、この手術によってたるみを取ることで、年齢相応の若々しい顔貌を取り戻すことができ、喜んでもらえます。

手術対象となる下瞼を観察すると、皮膚があまり厚くならないで、二重、三重になるもの、皮膚が厚く垂れ下がるもの、眼窩中隔という膜がゆるんで、包んでいた脂肪が前へ押し出されて膨らんでくるものなどがあります。

手術法は、まつげのすぐ下から、一ミリのところを横に切って、皮膚を開き、下瞼全体の皮下を剥がして弛んだ皮膚と筋肉を伸ばし、余分な脂肪と皮膚を切り取ります、

このとき、ぜひとも注意しなければならないことがあります。下瞼の皮膚はしゃべったり、口を開くたびに、下に引っ張られています。このため皮膚の適切な切除量を決めるときは、囗を大きく開いた状態をとっていなければなりません。

もし、囗を閉じたまま皮膚切除をしてしまうと、しゃべったり、食事をするときに、瞼が下に引っ張られるため、アッカンベーをした状態になってしまいます。

下瞼に膨らみができている場合には、皮膚を剥がしてから、眼窩脂肪を取り出して切除します。このとき切り取る脂肪の量は

多くても少なくてもいけません。取りすぎるとへこんだ印象を与えてしまいます。また、筋肉も老化現象でたるんでいるので、筋肉を縫い縮めて緊張を強めておく必要もあります。

この手術では、目の下の皮膚を剥がした部分に出血による色素沈着が起こることかおりますが、二週間もすれば落ち着いてくるはずです。入院も必要なく、局所麻酔で行われます。抜糸は四日から1週間くらいの間に行います。

眼の下の切開縫合線は、まつげの陰になるところでもあり、また、治りが早い部位でもあるため、傷跡は目立ちません。

女性の年齢を決定する首の縦ジワ、横ジワを取る

女性の年齢は首でわかる、と言います。顔は化粧でごまかすこともできますが、首には化粧をするわけにはいきません。枕の位置によってシワができるといって、枕を慎重に選ぶ女性もいるほどです。

首は、前に後ろにと、頻繁にひねる動作が加えられる頭を支えているところなので、皮膚は常に伸縮しています。こうして加齢により、首にできる縦に波を打ったような特徴のあるシワを称して、七面鳥の首と言われます。原因は皮膚の老化と広頸筋という頸の筋肉の弛緩に影響されています。

痩せた人は七面鳥の首ですが、太った人の場合には二重顎になります。

手術としては、頬のシワ取りのフェイスリフトと基本的に同じです。皮膚切開は耳の後ろから項の毛の生え際ぎりぎりのところで行い、たるんだ頸の皮膚の下を広く剥離します。次にたるんだ広頸筋も剥離し、これをしっかり上後方に持ち上げ固定します。次いで皮膚も同様に持ち上げ、余った皮膚を切り取りながら(裁断)、縫合して完了です。

頬のフェイスリフトと同時に行うこともあります。

また、少しのたるみだけを気にしている場合は、頸の皮膚だけを引っ張り上げるか、またはあごの下を二、三センチメートルほど切開し、頸の筋肉を締め上げるやり方などがあります。

二重顎の人は、脂肪吸引を合わせて行う方がより効果的な場合があります。

手軽なシワ取り-コラーゲンの注入治療

紹介してきたようなシワ取りの方法のほかに、いま盛んに行われているのがコラーゲン注入法です。

コラーゲンというのは、哺乳動物の結合組織を構成する重要なタンパク質です。結合組織は皮膚の成分です。注射によってコラーゲンを注入するため、とても手軽に行うことができるのも特徴です。体にメスを入れる必要がないため、これを希望する患者さんも増えています。

注入するコラーゲンの量は、シワの状態や経過を見ながら加減していきます。ごく少量で何回かに分けて注入することもありますが、シワによっては一回で消えることもあります。原理としては、シワの溝をコラーゲンで埋めて平らにすることです。

注入する場所は表皮と真皮の境目か、真皮に近い0.1ミリの深さを狙い、シフの溝に沿って数ミリの数珠つなぎにしていきます。治療用のコラーゲンの中には、痛み止めも大っているので、注入時の痛みはかなり緩和されます。

いいことばかりのコラーゲン注入法のようですが、欠点もあります。効果の永続性がないということなのです。かつてはこれに似た治療で、シリコンやパラフィンを注入していた時代もありました。これらの物質は安全性に問題があるということで使われなくなり、現在ではコラーゲンにその場を譲りました。

注入されるコラーゲンは動物性のタンパク質です、注入後、約一年で吸収されてしまいます。ですから、少なくとも一年ごとに補充目的でコラーゲンの注射をすることになりますが、吸収されるような物質だからこそ安全であると、割り切って使うこともできます。

数年以上長く効果が続くのが手術だとすれば、毎日する化粧を少し大げさにしたようなものだと考えるのがコラーゲン注入です。寿命が伸びた今、以前には必要のなかった外見上の老化に対するメインテナンスが必要になってきました。たとえば、伸びた髪を切ってセットし、爪を切り、マニキュアを施すように、顔に対するメインテナンスとして「コラーゲン注入」を捉えることもできるのではないでしょうか。

人気の高いケミカルピーリングでつるつるの肌に!

現在、女性の間で治療の問い合わせが殺到している肌の若返り法です。ケミカルピーリングとは、化学薬品(ケミカル)を肌に塗り、その作用で薄皮を剥がすこと(ピーリング)によって、皮膚の新陳代謝を促し肌の黒ずみを取ったり、肌の張りを蘇らせ小ジワを取ったりすることを狙う方法を言います。本法はそもそも、額にやけどを受けた患者さんが、その治療後に肌が収縮し若返ったように見える現象をヒントにし始められるようになったものです。

使用する薬品は種々ありますが、ポピュラーなものとしてはTCA(酢酸の一種)やAHA(フルーツ酸)があります。TCAは作用が強く効果も高いですが、副作用として日本人の場合、色素沈着を起こしやすく注意が必要です。AHAは幾分マイルドな作用で、効果も、副症状(色素沈着)が少なくそこそこ期待できる代物です。治療は一回でも効果は出ますが、維持効果やより高い効果を狙うには、数週間に一回塗布し、これを数回繰り返すとよいでしょう。

本法は手軽に受けられ(所要時間は1分~15分)、シワ、シミ、くすみまで全部消えてしまい、「まるで赤ちゃんのような餅肌や、つるんつるんのゆで卵肌になった」との結果をいただくことも多いですが、中には合わない(副作用の出る)方もいらっしゃいますので、専門医の診療指導下に行われることが大事であることは言うまでもありません。

最新のレーザー治療によるシミ、アザ、ホクロの治療

シミやアザ、ホクロなどは、体のできる場所によって心理面に与える影響が非常に大きいものです。顔や首筋など、普段からよく見える場所にあって目立つものは、治療の対象と考えてよいでしょう。美容外科の中では子供など、低年齢の方も対象となる分野だけに、より慎重な治療態度が望まれます。

現在まで様々な治療法が試みられてきましたが、最新のレーザー治療の成果には目覚ましいものがあります。当クリニックで取り入れている最新のレーザー治療は、傷跡が残らない、痛みが軽く、麻酔の必要がない、副作用の心配もないなど優れた特長があります。

レーザー治療はシミやアザによって、照射されるレーザーの機種も異なってきます。治療前にまずそのシミやアザがどんな種類、病変のものなのか、正確に診断しなければなりません。アザやホクロの中には悪性のものも存在します。治療を何度行ってもすぐに再発していたしつこいホクロが、実は皮膚ガンであったという笑えない話もあるのです。

また、ただレーザーを当てれば良いというものではないのです。照射するレーザーの種類やその強さを選択したり、繰り返し照射するタイミングを見極めるには、熟練したアザ 専門医の于によらねばなりません。

確かにレーザー光線は、電灯などの通常の光と違って高いエネルギーを持っているため、使い方を誤れば、当然副作用も出てきます。けれども、抗ガン剤や放射線と違って、病巣選択性(悪い細胞だけを破壊し、正常な細胞には損傷を与えないという特性)が非常に優れているので、専門医が直接取り扱う限りにおいては心配はまったくありません。

皮膚の色素異常症(先天性のアザ)に対するレーザー治療は、平成五年度から、中央社会保険医療協議会によって高度先進医療として承認されていますし、平成八年度からは、赤アザに対する色素レーザー治療、そして、扁平母斑、太田母斑などのメラニン系の茶・青アザに対するルビーレーザー治療の一部に、健康保険も適用されるようになりました。

今後さらに広い分野で治療に効果を発揮すると思われるレーザーですが、適切な使い方はもちろんですが、治療後のアフターケアも万全でなくてはなりません。治療後まもなくは、とくに紫外線に対するケアが必要となります。テーピング、遮光クリーム、ファンデーションなどを適切に用いて紫外線をカットすることが大切です。

また、治療後に再びシミなどがでないために、肌を手入れする美白クリーム(ホワイトリペア)も当クリニックで開発しています。市販の漂白、美白クリームでは十分な効果が期待できなかったという方にも喜んで使っていただいています。

たった5分でホクロが消える

ホクロの治療に際しては、そのホクロがどういうホクロなのか見極めることが最も大切です。日本人には少ないのですが、ガン化する悪性のホクロもありますし、良性のホクロでも、大きさ、深さ、表面の盛り上がり具合を調べ、そして、いつ頃からあるホクロなのか、といったことを患者さんに伺って、どういう治療が最適なのか検討します。

ホクロの深さは、簡単には色で見分けることができます。皮膚のどの層にメラニン色素があるかで見え方が決まってきます。表面に近いホクロは色素の色が透けて、薄い茶色に見えます。こうした浅い場所にあるホクロの場合は、ルビーレーザーで簡単に取れます。シミと同じ要領だと思えば良いでしょう。

ルビーレーザーをわずか100万分の一秒という短い時間ずつ照射して、メラニン色素を破壊します。小さな茶色のホクロなら一分もあれば治療は終わります。

また、病変が浅くても盛り上がっているホクロには炭酸ガスレーザーが有効です。炭酸ガスレーザーは、いわゆるレーザーメスとして外科手術ではよく使われるものです。これをホクロに当てますと、組織内の水分がレーザーを吸収して、ホクロがはじけるように破壊されます。

レーザーを使いますと、従来のホクロ取りの手術のように出血をしません。照射された部分の血管が凝固し、瞬時に固まってしまうためです。しかも、炭酸ガスレーザーは、深い位置に入っていかない性質があるので、傷跡も残りにくいというメリットがあります。

目障りな場所にあるホクロに長年悩んできたという人にとっては、レーザー治療は待ちに待った朗報ではないでしょうか。

当クリニックを訪れた方たちは、皆さん、こんな簡単なことならもっと早く来れば良かった、とおっしやいます。まさに、科学技術の発展がもたらした恩恵です。

レーザーで老人性シミも消えた!

加齢現象によって生じる老人性色素斑(老人性シミ)に有効なレーザーも開発されています。このレーザーは表皮性のメラニン色素にだけ吸収され、破壊します。そのため、老人性色素斑には大変有効なのです。

いわゆる老人性のシミがなくなるだけで、見違えるように若返ることは実証済みです。シワなどよりもこのシミの方が、むしろ人によっては加齢を強く自覚させる場合があります。今まではこれといった有効な手段がなかったため、あきらめていた人も多かったのです。老人性のシミは男女を問わず現れます。

50代のある男性患者は、頬に三、四センチのシミができて、「これまで、女房がどれほどシミを気にしていたかが痛いほどよくわかった」としみじみ語っていました。

レーザーによるシミなどの治療にはわずかの割合ですが、効果が期待できないケースもあります。そのため、テスト照射をしてから、本治療にかかるのが普通です。また、場合によっては皮膚に負担をかけないため、一度に治療を行わず、何回かに分けて治療する場合もあります。全体の治療の経過を聞いたうえで納得し、最も効果が上がるように心がけることが必要です。

女性のシミの場合は、時にそのシミが老人性のシミか肝斑なのか、あるいは遅発性の太田母斑なのか見分けることが重要なポイントになります。

肝斑は鼻から両頬にわたってできることが多く、褐色で境界もはっきりしています。かゆみや痛みはありません。原因は、更年期などの内分泌ホルモン系統の異常と思われます。これもレーザー治療が可能ですが、老人性シミと違って再発することも多いため、婦人科や内科の専門医に相談することを勧めます。

遅発性(20歳以降に発症する)太田母斑は、外見上褐色調を示し、シミとよく似ていますが、正体は青アザの代表格である太田母斑と同じです。病変がシミよりも深いため、Qスイッチルビーレーザーなどの特殊なレーザー治療が必要となります。

これについては一部後述します。

老人特有の赤ら顏もレーザーで治る

赤ら顔は真皮上層の毛細血管が拡張する疾患です。その程度は、軽いものから重いものまでさまざまです。気温の変化で出現する場合もありますので、診察時には詳しくカウンセリングしなければなりません。また、実際には赤面恐怖症である場合も考えられるので、精神科のコンサルタントが必要な場合もあります。

赤ら顔の治療には色素(ダイ)レーザーが使われます。このレーザー光線は、赤色の原因である赤血球内のヘモグロビンに選択的に吸収されることで、その周囲の病的な血管を破壊し、凝固させます。この過程によって赤色のアザが白く治っていくのです。

赤ら顔のレーザー治療は、治療により、一時、発赤が現れることがあるので、診察時にはよくそのことを説明します。また、経過を見ながら行い、術後に色素沈着が起こることがあるので、長期の治療になることも覚悟しておくことが必要です。

若い女性を悩ませてきた太田母斑もレーザーで完治

太田母斑は、日本人の女性に多く見られる青アザの一種です。思春期の頃にとくに目立つようになり、たいていは顔、しかも目の周りを中心にできるのが特徴です。顔にできること、思春期に濃くなることなどから、長年日本人の若い女性を悩ませてきました。

カバーマークなどの化粧品で一時的に目立たないようにすることはできますが、完全に治らない限り悩みは消えることはありませんでした。

しかし、今では多くの人がレーザー治療によって、悩みをすっきりと解消しています。

治療には、より深達能力(深い病巣まで届く性能)や選択能力(病巣のみを破壊する性能)の高いQスイッチルビーレーザーやヤグレーザーなどが使われます。

アザの状態(太田母斑の原因病巣である真皮内の色素細胞の分布状態)や年齢によって多少感受性が異なりますが、一回から数回の照射で病巣を破壊することができます。

赤アザに有効なダイレーザー

メラニン色素の異常によるアザではなく、毛細血管の異常によって引き起こされる赤アザに対してもレーザーは有効です。

赤アザは血管腫とよばれ、血管の腫瘍を意味します。ある場所に血液が滞っている状態があって、それが表皮から透けて見えるものです。腫瘤といっても良性なので悪性化することはありませんが、顔に多いアザなので、当人には深刻な悩みとなります。

この治療に使用されるダイ(色素)レーザーは、赤い色素にしか反応しないという特徴があります。照射されると、皮膚の表面を通過し、血液中の赤いヘモグロビンに吸収された瞬間に熱エネルギーを発生させ、その部分の毛細血管を破壊します。

異常を起こしている場所が浅ければ、一度の治療できれいに取れることも少なくありません。ただし、その場で完全にきれいな肌を取り戻せるわけではありません。治療の直後はアザの色が変わったようになります。場合によっては余計に目立つようになることもあります。

しかし、心配することはありません。一、二週間もすると、アザの部分の色調が落ち着いてきて、二か月も経てば、きれいな肌になるからです。

また、新生児に特徴の苺状血管腫と呼ばれるものもあります。普通は成長とともに消褪化し、小学校へ上がる頃にはほぼ消えてしまいますが、場所によっては周囲に悪影響を及ぼすこともあり、早めに治療をした方が良い場合があります。幼児とはいえ、顔などの目立つ場所にあるときには本人の心理状態にも悪影響があるでしょう。

いずれにしても、乳幼児が対象ですから、的確な判断のできる経験豊富な医師に任せることが最も重要なポイントとなるでしょう。

チャームポイントの要は目

目は人間の顔の中でもとくに重要な働きをしています。もちろん見るという行為は大切な機能ですが、逆に見られたときのことを考えると、「目は口ほどにものを言う」とことわざにもあるように、気持ちを表すには目が大活躍します。

恋人同士で見つめ合うときばかりでなく、人と会って話すときには、目を見ることが自然な習慣となっています。目は、言葉だけでは通じない微妙なニュアンスですら、伝えることも可能です。生まれたばかりでようやく目が見えるようになったばかりの赤ちゃんの視線は、母親の目を追っていると言います。目は、人間が最初に興味を持って見る対象なのです。

そしてまた、目は美しさの鍵をも握っています。大は他人を見る場合、無意識のうちに目を見て、瞬時に顔の中のバランスを把握してしまいます。美人かどうかを判断するのは、ほんの一瞬なのです。ところが残念なことに、日本人の多くの人の目は、フィッシング・アイと言われるように、細くて一重瞼が多いのが特徴です。

さらに、日本人の特徴として、蒙古ひだが挙げられます。上瞼から目頭にかけてテント状の皮膚が覆いかぶさり、目頭が見えにくくなっています。

蒙古ひだがあると、目と目の間の間隔が開くので、間延びした印象を受けます。

一重瞼は二重瞼に比べ視野が狭く、目を挙げる筋肉(上眼瞼挙筋)だけでは力が足りず、本人も気付かないうちに額の筋肉も使ってしまいます。そのために目と眉毛の間が開き、間延びした印象は一層顕著になります。

もちろん、一重瞼の美人も存在します。しょうゆ顔という言葉で一重瞼で切れ長の目を特徴とする、顔の魅力にも注目が集まるようになってきていますから、趣味は多様化し、なにが何でも二重瞼になりたいという時代ではないのかもしれません。

一重瞼と二重瞼の違いはどうしてできるのか

日本人の40パーセントの人が二重瞼という調査結果が出ています。

どうして一重瞼と二重瞼の人がいるのかわかりますか?

目は瞼板という軟骨の枠の中にあります。目を開ける筋肉は瞼板に付いていて、枠ごと閉じたり開いたりしています。これを上眼瞼挙筋と言います。この目を開ける筋肉が、枝分かれして上瞼の皮膚にも付いている人が、瞼板と上瞼皮膚の二か所で引き挙げられるために二重瞼になるわけです。一重瞼の人は枝分かれがないため、瞼板の一か所で引き上げられるので一重になります。また、奥二重というのは、目を開けたときにひだはできるものの、折れ曲がった皮膚の量が多いため、ひだが隠れてしまったものを言います。

つまり、この筋肉の枝分かれの代わりに、糸を使って上瞼の皮膚と筋肉をつなげてやれば、二重瞼を作ることができるわけです。これが、埋没法と呼ばれる二重瞼手術が可能となる理由です。

では、一重瞼を二重瞼にすると、どんな変化が生まれるのでしょう。

まずひだができます。そして、一重瞼のときには下がっていたまつ毛が持ち上がります。また、瞼が引き上げられるので一重瞼のときより大きく見えます。

そのうえ、今まで額の筋肉(前頭筋)を使っていたところが、これを使わずに見えるようになったので、眉毛が下がり、目と眉毛が近くなります。こうした結果を見てもわかるように、ただ、ひだが増えたというよりも、目の周りを中心とした全体としての顔の印象が大きく変わるのです。

たった5分で二重瞼に

二重瞼の手術には大きく分けて二つの方法があります。一つは瞼を切開して皮膚を縫い合わせる「切開法」、もう一つは切ることはせずに、上瞼の皮膚と筋肉を糸で止めるだけの「埋没法」です。現在では圧倒的に後者の埋没法が主流になっています。

切開法

上瞼に二重瞼になる予定線を引き、そこを切開し、必要なら、よけいな脂肪を取り除いて、縫い合わせます。一度手術をすれば、元の一重瞼に戻ることはありませんが、術後にラインの修正を行うことは難しくなります。瞼の皮膚に脂肪が多い人や、たるみのある人、後述する蒙古ひだが顕著に現れている人、埋没法では二重瞼ができにくい人などに適した方法です。手術時間は20分ほどですが、出血も伴うため腫れが生じ、目立たないものの、厳密な意味で若干の傷跡も残ります。抜糸も必要で、完全に部位が落ち着くには一か月ほどかかります。

埋没法

瞼の裏側を何か所か糸で縫い、二重のひだができるようにするものです。5分程度で手術も終わるため、腫れもほとんどなく、傷跡も残りません。縫い込んだ糸はそのままで、抜糸もしません。溶ける糸を使うという表現も見受けられますが、溶ける糸などというものは基本的に使用しません。体の内部にあっても問題のない糸が使われるという意味だと考えればよいでしょう。

埋没法の一番の特長は、気に入らなければ、糸をはずして元に戻したり、ラインの幅を変えたりすることができるということです。切開法ではそれはできません。また、埋没法はどちらかと言えば、皮膚に張りのある人に向いた方法です。

このように二重瞼の手術、とくに埋没法は非常に簡単なもので、少し経験を積んだだけの医師でも一応、二重瞼を完成させることはできます。しかし、目というのは微妙なところだということは前述したばかりです。

人によっては、若干外側を上げたり、二重の幅を微妙に調整したりすることが必要となってきます。それができるかどうかはやはり、それに熟練しているかどうかに関わってきます。また、簡単であるという理由から、どんな場合でも埋没法で押し通している美容外科も存在します。皮膚のたるんでいる人に向かないことが証明されているにも関わらず、やみくもに埋没法を使用するのはいかがなものでしょう。

自分が未熟だから、簡単な方法を採るというのでは、あまりにも患者無視ではないでしょうか。

蒙古ひだの手術

蒙古ひだは、蒙古人種(モンゴリアン)の特徴でもあります。目頭のところに上瞼の皮膚が被さっているものです。白色人種と違い、目頭の赤い涙腑、涙湖が見えません。

この蒙古ひだによって、目が腫れぼったい印象を与えたり、目が離れていて間延びした印象を与えます。このひだはどんな人種でも幼児期にはあるものですが、生まれてしばらくすると消えてしまいます。しかし、蒙古人種だけは成人しても残っている人が多くいます。

このようなときには、蒙古ひだを切り取る、内眼角切開法(目頭切開)という手術が適応となります。この手術の結果、目の横径が広がり、とくに鼻側が広くなるので、より立体的な顔貌となり印象が変わります。

この手術を受ける注意点は、蒙古ひだのあたりは傷跡が赤く残りやすいところなので、その点を考慮することが大切になります。二重瞼の手術と併せて行えば、より効果的に美しい目元を作ることができるでしょう。

眼瞼下垂(がんけんかすい)について

目を思いっ切り開けようとしても、十分に開けられない人がいます。このようなまぶたを「眼瞼下垂」と呼びます。

この症状の人は、目が大きく開かないので、眉毛をつり上げて、額のシワを寄せて物を見ようとしたり、それでも見にくいので首を後ろにのけぞらしたりすることもあります。眼瞼下垂の程度がひどいと、視力が落ちてしまうことすらあります。

眼瞼下垂の原因は、ほとんどが生まれながらに上まぶたを開ける筋肉(上眼瞼挙筋)が萎縮しているために起こります。そのため、いつも眠そうな目をしてると言われたりすることがあるようです。

最近は、コンタクトレンズが原因によるものも増えています。若い女性で、10年以上の長期間にわたってコンタクトレンズを使用している人に多いようです。この場合は、比較的眼瞼下垂の程度は軽いのですが、夕方や、目が疲れたときに、症状がひどくなるようです。これを完治するには、手術しか方法がありません。

下垂の程度が軽ければ、上まぶたを開ける上眼瞼挙筋という筋肉を寄せ縫いしたり、切り取って再縫合したりして筋肉の長さを縮める手術をします。二重瞼の手術より、かなり高度な技術を必要とします。これにより弱い筋肉でも効率よく収縮できるようになり、瞼が開きやすくなるのです。

下垂がひどければ、上眼瞼挙筋そのものの萎縮が強く、もはやこれを利用できないため、別の筋肉(前頭筋)の収縮力に頼るべく、この筋肉と瞼の閧に筋謨を移植する手術(筋膜移植術)を行わねばなりません。

術後の傷跡は二重瞼の手術と同じ程度ですが、手術後一時的にまぶたがつぶりにくい症状がでますが、徐々に違和感はなくなってきます。

鼻筋を通して鼻を高くする隆鼻術

隆鼻術は、二重瞼の手術と並んで古くから日本人に需要のある手術でした。現代人の鼻は数十年前に比べたら、格段に高くなったと言われていますが、まだまだ需要はあります。もちろん単純に鼻を高くするだけではなく、小鼻を小さくしたりするなどの複合的な手術も行われています。

鼻筋を高くするにはシリコンなどの人工物を使う場合と、軟骨や骨、筋膜などの自分の組織を使う方法(移植術)があります。どちらも鼻の穴の中を切開するため、傷は外からでは見えません。

シリコンは、軟らかさや大きさなどが自由に調節できるために、かなり自然な鼻筋を作ることが可能ですが、ただ、あまり無理をして大きなものを入れると、皮膚が薄くなってきたりします。

そういうことのないように、熟達した医師によるデザインが必要となります。

その点、耳や胸の軟骨、頭の筋膜などを重ねて縫い合わせる方法は、自分の組織であるため、周りの組織と一体(生着状態)になり、馴染んでくれば皮膚に影響を与えることはありません。ただ、余分な切開も必要になり、一般的にはシリコンをしようすることが多くなります。

鼻の高さは、高くすればいいというものではありません。顔全体のバランスを見ながら、医師とよく相談し高さを決める必要があります。

欧米人と東洋人の鼻を比べてみるだけでも、鼻の形には民族的な要素が強く大っていることがわかります。国や地域によって、また性別によっても美しい鼻の概念は大きく変わってきます。鼻の形や大きさは、総合的な判断をしてよく見極めねばなりません。

鼻先を細くしてダンゴ鼻を解消

鼻先が大きかったり、鼻先が丸くて短かったりする悩みは日本人に多いものです。何となく品のないイメージで見られてしまうので、初対面の印象で損をします。

シリコンを利用して鼻先を高くして、鼻の丸みを目立たなくさせる方法のほかに、鼻の中の軟骨(鼻翼軟骨)や脂肪を処理して、すっきりさせること(鼻尖形成術)もできます。また、それらを組み合わせながら、その人に合った鼻の形を求めていきます。

最も手軽なものとしては、鼻翼軟骨を縦方向に縫い寄せる術式があり、これにより、横に広い鼻を縦方向にすることができます。この場合鼻先だけの手術ですので、隆鼻術ほどには腫れません。1週間目くらいに抜糸することになります。

ワシ鼻

鼻の骨の部分が出っ張っている状態です。ワシ鼻だと、年老いたイメージになりがちなので、若い人にこの手術を望む人が多いようです。西洋人に多い鼻の形でしたが、最近では日本人にも時折見られるようになってきました。

原因は鼻骨が大きすぎるからであり、手術は出っ張っている骨を切り、同時に側面の鼻骨も骨切りをして整え、鼻背をなだらかにします(鼻骨切削形成術)。骨切りをうまく行うには熟達を要するため、プロテーゼを入れて出っ張りを矯正する手術も考えられますが、骨の出っ張りがかなり大きな場合が多く、鼻が大きくなりすぎてバランスからいっても問題があります。骨を切って形成した方が良い結果を得られます。

手術後は目の周りの内出血も起こる可能性があるので、患部の安静、圧迫の意味で、鼻の上にテープやギブスをして固定したり、鼻の穴の中に特殊な粘土を入れ固定する方法があります。

小鼻縮小

小鼻が膨らんだような形をしている場合、これを小さく形を整える手術も行われています。これは鼻の穴を縦方向に長くすることにより効果を出すものです。

小鼻の内側の皮膚を切開し、余った部分を切除して縫縮します。傷跡は直後よりわかりません。

輪郭形成手術には彫刻家のセンスが必要

輪郭形成とは、顔面の骨に手を加え、彫刻するがごとくに形成する手術のことをいいます。最近、最も希望が多いのが、いわゆる小顔化の手術です。全体のプロポーションを決めるうえで、顔の大きさが重要なポイントとなるからです。背が高くても顔が大きければ、スタイルが悪く感じられますし、反対に背が低くても、顔が小顔なら、よいスタイルに見られます。

また、顔の輪郭の美しさは美人の第一条件のようにも思います。美人だと言われる女優さんたちの顔を思い浮かべてください。大きな目の人も二重瞼の人も多いのは事実ですが、一重瞼でも、小さな目でも、それから、たとえだんご鼻でも、美人だと言われる女優さんは少なからずいます。これはひとえに輪郭の美しさだと私たちは考えています。

輪郭形成の中では、エラ削り(下顎角部の骨の切削)が一番人気があり、多い手術です。また、頬骨が高いと人相が悪くなるため、頬骨の切削を希望する人も多くいます。

これらの手術は、顔面の骨を微妙なタッチで削るわけですから、まさに彫刻家のセンスが必要となります。彫刻家でも下手な人とうまい人がいるように、この差は歴然と出てしまいます。メジャーも使わず、微妙に異なる左右の対称性も考慮しつつ、常に全体のバランスを考えながら行わねばなりません。

また、全身麻酔をかけ、囗の内側からメスを入れての手術となるため、手際の良さも同時に必要です。センスと器用さの両方を持ち合わせた者で、数多くの症例をこなしていることが、この手術を安心して任せられる条件となります。

輪郭形成でも、耳の後ろを一センチほど切開し、そこからノミを挿入して削る方法もあることはありますが、これでは、靴下掻痒の感を拭えません。決して満足の行く出来映えを期待することは無理です。しかし、全身麻酔なども必要でなく手軽であることから、この手術法はある種の医師たちにとっては人気があります。ごくわずか、表面をなめるように削っただけでも輪郭形成といえるなら、これほど簡単なことはありません。

しかし、これでは患者さんは満足できまぜん。他のクリニックでこのような手術を受けた方が、再手術のため、当クリニックを訪れることもしばしばあります。治療を終え、完全な満足感を得られて帰られるのを経験するたびに、困難な手術だけれども、それを成し遂げたという充足感を医師の私たちも感じることができます。輪郭形成は成功すれば、それほど劇的な変化が訪れるのです。

自分に最も適した豊胸手術を選ぶことができますか?

豊胸手術には、自分の脂肪をおなかなどから取って注入する「脂肪注入法」と生理食塩水の入ったバッグを挿入する「生食バッグ法」があります。

脂肪注入法の問題点は第2章ですでに述べましたが、生食バッグ法にも二通りの手術法があることを知っておいてください。

生食バッグを挿入する手術には、バッグを入れる場所によって大胸筋下と乳腺下の二つの方法があり、元の乳房の形態(乳腺や脂肪の量、下垂の程度など)に応じて、手術法を選ぶことが大切になります。

一般的には大胸筋下法が多用されていますが、どちらか一方しか説明しなかったり、あるいは一方しかできないようなクリニックには問題があります。

大胸筋下法では、ワキの下を切開して入れる方法が採られ、乳腺下法では乳輪に沿って切開しバッグを入れます。少し垂れたような形の人には乳腺下法が向いています。元のバストの形によっては、乳腺下法で行うと、いかにも取って付けたような不自然な形のバストになってしまいます。どちらにも長短はあるのですが、一つの方法しか選べないというのは問題です。私たちは、患者さんたちが自分により適した方法を選べてしかるべきだと考えています。

では、生食バッグは完全に良い手術かというとそうでもないのです。

一部の人に起こることですが、一パーセント内外の割合で、カプセル拘縮といって、入れたカプセル(バッグ)の周りの胸が硬くなったり、バッグが破れるということもまれにあります。これを防止するため、手術後数目から1週間でマッサージを開始することになります。このマッサージは数か月続けることになります。

とはいえ、現在世界中で行われている豊胸手術の唯一の手段が、生食バッグ法であることも事実です。豊かな胸、均整の取れたボディを手に入れ積極的に生きるために、自信を持って積極的に美容外科の門を叩いてください。きっとその希望にお応えすることができると思います。

乳首の形を整えたい

乳首の形を気にする女性はかなりの割合でいます。ほとんどが大きすぎる乳頭に悩んでいます。恋愛、結婚などの時期になると、パートナーとの関係で悩み、美容整形を訪れる人が増えます。また、既婚女性の場合は、妊娠出産で、赤ちゃんにお乳を吸われて、乳頭が大きく変形してしまう場合もあります。これも通常よりもすこしくらい大きいのならがまんできますが、中にはニセンチ以上になっている人もいて、悩んでおられます。

手術は局部麻酔ででき、入院の必要はありません。

乳頭の高さとともに幅も小さくすることができます。傷跡はほとんど残らないため、気軽にクリニックを訪れて相談してください。

反対に乳首がまったく見えないのが、陥没乳頭です。乳首マッサージなどで乳首を手で揉んでいると、乳頭が出てくるくらいの軽症例ならば、妊娠出産し、母乳を与えている間に治ることもありますが、いくら揉んでもまったく乳頭が出てこない場合は手術の対象になります。

妊娠した後も、陥没乳頭を放置すると、赤ちゃんに十分な母乳をあげることができなくなります。また、乳汁が鬱積し、乳腺が化膿したり、しこりとなったりする場合があります。こうしたことからも決して放置しておいてよいものではありません。

原因は、乳輪の筋肉の発育が悪いことなどが挙げられます。この場合は、手術で陥没している乳頭を引き出し、乳頭の根元を少し締め付けて乳頭が窪まないようにします。手術時間は30分ほどで、局所麻酔で行えます。もちろん入院の必要もありません。

とくに若い女性が対象の場合が多く、手術跡を目立たなくすることも大事ですが、円滑にお乳が出るようにする必要があります。乳管を切除し、形だけを整える手術も可能ですが、授乳がまったくできなくなるので、出産の可能性がある人は絶対に行わないようにしてください。

また、陥没乳頭の種類によっては、比較的簡単な手術法として乳首の一部に五ミリぐらいの切り口をつくり、乳腺の中の索状物(乳頭を引っぱり込んでいたもの)をはがしていくやり方が有効な場合もあります。陥没乳頭の手術はその程度、年齢、原因によって、方法が違ってきます、しかし、いずれも手術跡はほとんど目立ちません。

ワキガは100パーセント完治する

汗を分泌する腺には、エクリン腺とアポクリン腺という二種類の分泌腺があります。そのうちアポクリン腺というのは、脇の下、乳輪、陰部、外耳道、臍など体の中の決まったところにしかありません。

エクリン腺から出る汗の成分はほとんどが水分と塩分ですが、アポクリン腺からはタンパク質、糖類をはじめ、アンモニア、鉄分、脂質、脂肪酸など、臭いの元となる物質が分泌されています。この汗の成分が細菌などによって分解されて臭いを発するものがワキガなのです。

ワキガは人種差が大きく、白人は日本人よりかなりの比率で高くなります。また、遺伝性もあるようです。アポクリン腺の活動は思春期のころから始まり、熟年以降、老化で衰えるまで続きます。

日常的には毎日入浴するなど、清潔にし汗止めなどを使う対処法しかありませんが、それでも臭うという場合には外科的な処置もすることができます。

現在完治すると言われている方法は、脇のところに横に切開を加え、皮下を剥離し、皮膚を返して、裏側のアポクリン腺を削る方法です。これを剪除法と呼びます。稲葉法もよく行われている方法ですが、これらのアポクリン腺をすべて削り取る方法以外にはワキガを完治させる手術法はありません。

脂肪吸引と同様にして、ワキの下の皮下脂肪組織と一緒にアポクリン腺を除去できるとする〈吸引法〉や、超音波で脂肪組織を破壊してから吸引する〈超音波法〉などは、効果は少ないという結果が学会誌などに発表されています。

手術時間は一時間から二時間ほどです。しばらくは傷跡は残りますが、次第にワキのシワに紛れて目立だなくなります。アポクリン腺は毛穴の出口とつながっているため、毛根も一緒に切除することになり、脇毛が生えなくなるという女性にとってはメリットも生まれます。逆に言えば、手術後も脇毛がたくさん生えてくるようなら、十分な手術がなされていないということがいえるでしょう。

ワキガの手術は第1章でも述べましたように、100パーセント完治しなければ意味がありません。確実な手術を選んで治療していってください。

肥満は成人病の巣

人間の体内には、皮膚や内臓の周囲に必ず脂肪組織が存在します。その役割はエネルギーの備蓄です。いざというときのために、体が備えた貯金のようなものです。

冬眠する熊が秋に大量に食物を取るのはそのためです。長く貯蔵でき、使うときはエネルギー効率の高い脂肪として体に蓄えておくのです。

この脂肪の蓄積が異常になったのが肥満といわれる状態です。

先進国における現代人の肥満は、そのほとんどが供給するエネルギー(食事)に対して消費するエネルギー(運動)が少ないというアンバランスから生じています。

生活環境を改めることが何よりも先決ですが、なかなか思うようにはいかないのが現実です。食事療法を中心にしたダイエットは相変わらず盛んですが、エネルギーバランスを考えれば、食事だけでなく、ライフスタイルそのものを変えなければ重度の肥満は解消されません。生活を変えるために必要なのが意識の改革です。そうした精神的な改善を促す書物も最近では増えてきました。

脂肪を蓄えるのは脂肪細胞といい、この数は10代の思春期の頃までに決まってしまいます。つまり、脂肪細胞が分裂しその数を増やすのは10代の頃までで、それ以降には増えないというわけです。

若年の肥満はそれ以後の肥満体質を決定してしまうのですから、子供の肥満に関して、もう少し親の意識を高める努力をしなければ、これからの日本も欧米のように肥満体質の大人が増えてしまうことになります。

肥満であるかどうかは体脂肪の量で決まりますが、どこに脂肪が付いているかということも大きな問題となります。中年男性のようにおなか中心に脂肪のつくタイプと、若い女性の肥満に多い、太股やお尻などの下半身に脂肪のつくタイプに分けることができます。

この脂肪のつく位置によって、前者をリンゴ型肥満、後者を洋ナシ型肥満と呼ぶことがあります。

女性がお尻や太股に脂肪を蓄えるのは、妊娠や出産のためという見方もできます。その証拠に、一般には洋ナシ型はリンゴ型に比べ、糖尿病などにかかる危険率が低いようです。

さらに、リンゴ型の肥満を詳しく見てみると、皮下脂肪として脂肪が蓄えられている場合と、内臓に脂肪が蓄えられている場合に分けられます。

内臓型肥満は、皮下脂肪型よりもさらに危険率の高い肥満なのです。しかし、適度な運動によって体内の脂肪を燃やす場合には、内臓型の脂肪の方が先に燃える傾向があるので、ダイエットのために計算された運動メニューをきちんとこなしていけば、危険を脱することもそれほど、困難ではありません。

健康診断などで内臓型肥満とされた方は、医師の指導に従って体内の脂肪を落とす努力をすることです。

リバウンドもない脂肪吸引で痩せる

ダイエットメニューによって危険な状態を抜け出したとしても、おなかの周りや太股などについた余分な皮下脂肪は、なかなか思うように落ちてはくれません。おなかがキュッとしまり、お尻が持ち上がったような理想の体型に痩せるのは非常に困難です。全体の脂肪を落とすよりも、部分痩せがいかに難しいかは、経験した人ならよくわかると思います。

そこで、登場するのが、美容外科で行われる脂肪吸引です。フランスで最初に始められたこの方法は、アメリカに伝わるやいなや大歓迎され、一挙に広まりました。

脂肪吸引法による手術が、ダイエットなどの痩身法と大きく違う点は、脂肪吸引は部分痩せが可能だということです。

脂肪吸引は、体重を減らすための痩身法ではないのです。脂肪吸引で抜き取った脂肪を計ってみればわかりますが、痩せた部分に対して思ったほどの重さがないものです。

脂肪吸引のできる場所は、顔をはじめ、腕、背中、ウエスト、腹部、お尻、太股、ふくらはぎ、足首など、ほとんど全身に及びます。むしろできないところのほうが少ないくらいです。

しかし、抜き取る場所によっては熟練を必要とするため、ファーストフード的な美容整形では、できる部位が限られてしまい、自然な状態に痩せることができなくなるおそれがでます。

実際にこの方法は、原理は簡単なのですが、どの部分をどのくらい吸引すれば、どういう体型になるかを熟知していなければ行うことは危険です。

さらに脂肪吸引のメリットは、脂肪細胞そのものを取ってしまいますので、ダイエットにつきもののリバウンドがないことです。

ダイエットで痩せる場合は脂肪細胞の数が変わらないので、一つひとつが小さくなったために痩せている状態です。ですから、少し油断すると、もとのもくあみというリバウンドが起こります。

リバウンドがないということは、手術で痩せた部分はその後も永久に太ることがないということです。もちろんあまりの暴飲暴食は残った脂肪細胞を肥大化させることにつながり、皮下脂肪がつく結果となります。

ただし、この手術には適応となるための条件があります。それは、この手術で脂肪が減り、痩せたときに、皮膚がいったんはゆるんでも、その後元に戻れるだけの弾力があることが条件となります。皮膚の弾力は40歳をすぎると急速に衰えていくため、手術に適した年齢も20代から40歳くらいまでということになります。

しかし、年長者ができないというわけではありません。皮膚の収縮が悪くなっている状態では、吸引後に、皮膚の切除を併用することになるでしょう。

手術法は、カニューレという先端が丸く、その先に小さな孔の開いた管で皮下脂肪組織を壊しながら、その壊された脂肪を強力な吸引機で吸い取って行くのが一般的です。カニューレを挿入する穴は最大で五ミリ程度ですから、傷はほとんど目立ちません。

手術時間は部位によって異なり、頬やあごで20分ほど、腹部、太股、ふくらはぎ、ヒップ、二の腕、それぞれで1時間半程度だと思ってください。

麻酔は吸引する場所や量によっても違いますが、一般的には局所麻酔、全身麻酔のどちらでも可能です。

手術後は二~三時間休めば帰宅が可能。抜糸は1週間後で、その間は圧迫包帯をし、さらにその後、ボディスーツやサポート用のストッキングを着用します。

腫れは一、二週間ほどで収まりますが、完治するには2~3か月はかかります。

おなかの脂肪吸引

おなかは最も皮下脂肪のつきやすい場所です。中年以降になれば、男女を問わずおなかの脂肪が目立ってきます。

男性の場合はおへそを含んだ上腹部、女性の場合はおへそよりも下の下腹部にかけて脂肪がつきます。

この下腹部の脂肪は、ダイエットをしてもほとんど取れないという研究結果も出ているほどがんこなものです。

しかし、脂肪吸引を考えた場合には、比較的簡単に取れる場所で、しかも本人にとってもその効果が最も端的にわかるため、最も需要の多い手術です。脂肪吸引による部分痩せにこれほど適した場所はないでしょう。

ただ、おなかの場合には、前述しましたように内臓肥満、つまり内臓に脂肪がついている場合には効果が半減します。

個人差があるので、手術前に皮下脂肪と内臓脂肪の違いについて、十分に説明してもらうことが必要になってきます。

お尻の脂肪吸引

女性の場合は出産を控えているため、思春期以降は自然に脂肪がつきやすい仕組みになっています。

脂肪が適度につき、逆ハート型で張りのあるヒップはとても魅力がありますが、これも過度になると、大きすぎるという悩みとなります。

そのため、食事制限などでカロリーを制限し、運動でお尻の筋肉を引き締めるヒップアップ運動などを行うようになるのですが、やはり思うような効果を上げることができません。

しかし、そんなとき、お尻の脂肪吸引で余っている脂肪を取り除き、ヒップを小さくしたり、形を修正することができます。

余分な脂肪を取った後には、目に見える効果があるうえに、もう脂肪がつく心配もありませんから、より積極的にヒップアップ運動などに打ち込めるようになったと、この手術を経験された患者さんは言います。

足の脂肪吸引

太い足のことを大根足といいますが、西洋人に比べて、日本人の足は総じて大根足といえるのではないでしょうか。全体的に太く、足首などもしまりがない状態がよく見受けられます。

足の中でもふくらはぎの脂肪はもともと多くないため、脂肪吸引としては難しい部類に入ります。

しかし、太股など足の上部の脂肪吸引は比較的楽にできます。もちろん左右のバランスを良くしなければなりませんし、非常にデリケートなカーブを持つ部分なので、細心の注意が必要であることは言うまでもありません。

それが足首となるとさらに難しくなります。実際には足首の部分の脂肪はごくわずかですから、この場合には、足首のすぐ上の部分の脂肪を吸引することになります。

この部分は他の部分に比べて于術後のむくみが取れにくいのが特徴です。完全な状態に落ち着くには四、五か月ほどの時間が必要です。

むくみを早く取るには、適切なマッサージをしたり、引き締める作用の強いサポートタイプのストッキングを着用します。もちろん、歩いたり、仕事をしたりする日常生活には支障はありません。

頬、あごの脂肪吸引

頬の場合は耳たぶの所から細い・カニューレで吸引します。また、あごの場合はあごの最もへこんでいて、目立ちにくいところから吸引します。

顔を痩せさせ、すっきりさせ、二重あごを取りたいという人には最適な手術です。

二の腕(上腕)の脂肪吸引

二の腕は肩のあたりから肘までを全周にわたって吸引していきます。

この二の腕も、内側だけとか取りやすいところだけを取っていては効果が少なくなってしまいます。

全周にわたって取ることで初めて効果が出てくるものなのです。特別な理由がない限り、全周にわたり取ってもらうように要求しましょう。

最先端の永久脱毛はレーザー脱毛

これまで、永久脱毛の方法として美容外科やエステティックサロンなどで行われていたのは、毛穴に電気バリを挿入し、電気で毛の根本にある毛乳頭という部分を焼くものでした。いくら細い針といえども皮膚に毛一本ごとに刺すわけですから、痛みがあり、腫れることもしばしばでした。

1997年頃から日本でもレーザー脱毛が普及してきました。レーザーはアザやシミなどの治療でも効果を発揮していますが、その種類によって到達する距離が決まるため、皮膚の表面は痛めず、毛乳頭にだけ照射し、焼き切ることができるのです。通常痛みはほとんどないので、麻酔の必要はありません。

レーザーの性質上、白い肌で毛の色の濃い患者さんの方が治療効果が高く、色黒の方や、囗焼けなどで皮膚の色が濃くなっている場合には照射出力を上げられないため、効果が落ちることがあります。つまり個人差がありますが、脇の下で数回、足、腕で、3回、ひげで10回程度の繰り返しが必要となります。

それでも、従来の針脱毛に比べて、痛みも少なく時間も大幅に短縮でき、しかも経済的であるという点で喜ばれ、レーザー脱毛を希望する患者さんが急増しています。

また、永久脱毛をするには、皮膚の下に毛が存在していることが不可欠です。毛が抜けて休眠中の場合や、普段、毛を抜いてむだ毛の処理をしている方の場合には、剃毛処理に変えたうえで数か月を経てレーザーを照射するようにしないと、効果がありません。

21世紀の歯科医療

歯のない人生を明るくするインプラント・システム

子どもは、歯が一本抜けて隙間ができても元気で、明るく可愛いものです。それは乳歯から永久歯への交換期であり、新しい歯が生えてくる希望に満ちているからです。しかし、大人になってから不幸にして虫歯や歯槽膿漏などによって歯やあごの骨の一部を失うと、物を噛めなくなったり、発音や会話が思うようにいかないなど機能的に不自由になり、友達との食事や会話などの楽しい日常生活が送れなくなります。それだけでなく、顔の形が変わって急に老け込むようになり、自然な表情でふるまうことができなくなります。

このような悩みは、今まで取り外しのできる入れ歯や、歯を削ってかぶせるブリッジと呼ばれるさし歯によって多少は解決できましたが、なお多くの不満が残りました。土台である大切な歯根がないのですから、違和感に悩まされたり、噛む力が衰えたりするのもしかたのないことなのです。その点においてインプラント・システムはまったく違います。インプラント・システムは入れ歯を取り外す苦労もなく、歯を削る必要もありません。インプラントとは、失われた歯の根の代わりをするチタンで作られた人工の歯根のこと。これを手術によってあごの骨に植え込んで、しっかりと固定してその上に人工の歯を結合 させるという画期的な治療法であり、もう一度快適に食べたり、話したり、笑ったりと、生活に自信を与えてくれるハイテク医療でもあるのです。

注目を浴びる審美歯科

欧米では、美しい歯並びはステイタス・シンボルの一つとして考えられています。出っ歯、すきっ歯、受け囗などでは、笑ったときとても美しいとはいえません。昔から口もとに気を使う大は、高貴な大、社会的評価の高い大たちでした。

人の歯には、物を噛むという機能だけでなく、顔の表情に与える印象などの審美性(見栄え)を大きく左右するという要素があります。囗もとは顔全体の三分の一を占め、囗もとによって相対的に鼻が低く見えてしまったり、顔が長く見えてしまったりします。白く清潔な歯は、顔だち全体を美しく変化させてくれます。歯の形や色などは、その人の顔の輪郭や肌の色などを参考にして決定します。

次に、セラミックス・クラウン法、ラミネート法、ブリーチング法、ポリシング法など審美歯科の代表的な治療法を簡単に説明しておきます。

セラミックス・クラウン法
セラミックで作ったクラウンを歯にかぶせる方法で、かなり大きな歯のねじれや形、歯並びまでトータルに修復できます。
ラミネート法
歯の表面を薄く削り、セラミックのシェルをかぶせる方法で、歯を白くしたり、歯の隙間をなくすことができます。軽度の歯並びの悪さならこれでカバーできます。
ブリーチング法
部分入れ歯に代わる治療法で、抜けた歯の両隣の歯にクラウンをかぶせて、そこに人工の歯を連結させる方法です。入れ歯よりも強く固定されるため、グラグラしたりすることはありません。
ポリシング法
歯の表面を薄く削って、漂白する方法です。
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