コラム
COLUMN逆さまつ毛を治すにはどんな手術が必要? 保険診療なら何科がいいの?
まつ毛が外向きではなく内向き、つまり目の方に向かって伸びてしまう「逆さまつ毛」は、まつげによって目の見える範囲が狭くなってしまうために目が小さく見えるだけではなく、場合によっては眼球にまつげが触れて傷ついたり痛みが出たりといったトラブルにも繋がってしまう症状です。
なぜ逆さまつ毛になってしまうのか、またその治療を行うにはどんな方法があるのか。手術による治療の詳細や相談するべき科目などを詳しく解説します。
逆さまつ毛(さかさまつげ)とは?
逆さまつ毛は、一般的にまつげが通常の外向き(上まぶたであれば上向き、下まぶたであれば下向き)に生えるのではなく、正常の逆向き、つまり眼球がある方向など内向き(上まぶたであれば下向き、下まぶたであれば上向き)に生える状態を指します。
逆さまつ毛によって引き起こされるトラブル
まつげが眼球の方向に生えているため、毛先が眼球に触れてしまって刺激になったり、傷つけてしまう可能性があります。
眼球への刺激により痛みを感じるだけではなく、目の乾きやすさや視力低下などのトラブルに繋がってしまう可能性も高いため、早めの治療が必要です。
美容面では目が小さくみえるデメリット
通常、まつげは目元から外側に向いて生えていますので、まつげによってまぶたのラインをより大きく見せる事ができます。
一方で、逆さまつ毛は目に覆いかぶさるようにまつげが並んでしまうため、目元に影ができてより目を小さくみせてしまいます。
逆さまつ毛の種類と原因
逆さまつ毛はいくつかの種類に分ける事が可能で、それぞれに原因や対策方法も異なります。
まぶたが厚くてまつげが内側に向く「睫毛内反症」
睫毛内反(しょうもうないはん)とは、まぶたの厚みなどが原因となって、まつげの根本部分が内側に巻き込まれてしまい、まつげが眼球方向になってしまう状態です。
下まつ毛で生じる場合が多いですが、上まぶたでも発生する場合があり、遺伝的な影響が強く子供の頃から発生しやすいトラブルです。
まぶたの形状の問題「眼瞼内反」
眼瞼内反(がんけんないはん)とは、まぶたのたるみが原因となって、まつげが逆さま方向を向いてしまう状態をさします。70代では3%程度、80代では5%程度がこの症状になるとされています。
加齢により脂肪やコラーゲンといった組織が減少するとまぶたにタルミがでてきますが、このタルミによってまぶたが裏返ると、眼瞼内反の状態となります。
また眼瞼下垂という、加齢によってまぶたを引き上げる筋肉が弱くなる事などが原因で、まぶたが垂れて目元に被さってしまう症状の場合、かぶさったまぶたの皮膚がまつげを下方に押し倒してしまうため、同時に逆さまつ毛の状態となってしまうケースもあります。
まつげの向きの問題「睫毛乱生」
睫毛乱生(しょうもうらんせい)とは、まつげそのものが逆に巻いてしまって眼球方向に伸びてしまう状態です。まつげ全てではなく、部分的に逆側に向いてしまうため「乱生」となります。
まつげは通常、目元から外向きになるようにカーブを描いて生えますが、これが逆のカーブを描く事で逆さまつ毛となります。
後天的に発生する症状である事が多く、まつげの毛根近辺での炎症などによって、毛の生える方向が変わってしまった場合に引き起こされます。
逆さまつ毛を解消する手術
手術によって根本的に逆さまつげを解消する場合、下記のような方法があります。
埋没法(上まぶた)
医療用の糸によって、まぶたを開く際にまぶたの先が内向きではなく外向きになるように修正する手術で、美容整形では二重術として数多く行われています。
まぶたの内部にある瞼板や眼瞼挙筋といった組織と皮膚を糸で結ぶことで二重まぶたの構造を作る術式ですが、二重まぶたのようにまぶたに折り目ができる構造を作る事で、まぶたの先が内側を向く事を防止できます。
埋没法(下まぶた)
埋没法というと二重術のイメージが強いですが、下まぶたに対しても行われるケースがあります。
下まぶたの場合も、医療用の糸によってまぶたの組織を結ぶことで、まぶたが内側に巻き込まれる事を防止して逆さまつ毛を解消します。
「埋没法」というのは、糸を皮膚内に埋没させる特徴による術式名称であり、糸は皮膚内に埋没されて見えなくなるので手術が周囲にバレるという事はありません。
下まぶたの埋没法は、タレ目形成などでも行われる事があります。
切開法
まぶたを切開して、余分な脂肪や皮膚のタルミなどを除去してから縫い留める方法です。
二重整形術として行われる場合は、内部の筋肉を縫い留めるなどして二重のラインを作ります。
まぶたが脂肪などによって厚みのある方や、皮膚の垂れ下がりが大きいような特徴の方の場合、埋没法での解消が難しいため切開法が用いられます。
目頭切開
目頭の「蒙古ヒダ」が厚く、この部分で皮膚が巻き込まれてしまうと目頭部分で逆さまつ毛の状態が生じるケースがあります。
この場合は目頭切開を行って蒙古ヒダを除去する事で、さかさまつげを解消する事が可能です。
目頭切開にはZ法やW法など様々な術式があり、目元の形状や目指す目頭の形によって術式が選択されます。
眼瞼下垂の治療
まぶたの皮膚が垂れ下がった眼瞼下垂の症状でまつげが内向きになってしまっている場合は、眼瞼下垂の治療も有効です。
眼瞼下垂の治療では上瞼の垂れ下がった余分な皮膚の切除や、まぶたを持ち上げる「眼瞼挙筋」という筋肉を縫い縮める事でまぶたがしっかりと開くようにします。
眼瞼下垂も重度であれば保険適用による治療があります。
まつげの除去(脱毛)
睫毛乱生状態でまつげが数本だけ内側に向いてしまっているような場合は、まつげの根本を切除したり、電気分解したりして「脱毛」を行う事での対処もあります。
手術は眼科?美容外科?
逆さまつげは眼球を傷つけるトラブルとなりますので、症状の状態によっては保険診療によって治療が可能です。
保険診療の場合は3割負担の方で15,000円程度の負担となり、診療科目としては眼科や形成外科での施術となります。目のトラブルなので眼科のイメージが強いですが、術式としては形成外科の分野でもあるため、どちらかに相談してみるといいでしょう。
ただ、逆さまつ毛が保険診療での治療が可能なのは眼球へのダメージが大きいなど重度のケースであって、自費診療となる可能性が高い症状です。
また、保険診療での適用になったとしても、その場合にはあくまでも保健目的であって美容目的ではないため、理想の二重を目指したいというような要望に対応する事はできませんし、術後の傷跡などに対するケアも美容目的の手術よりかは考慮されにくい面があります。
埋没法など目元の治療は繰り返し何度も行うと術式の難易度もあがりますし、理想の目元を作る事が難しくなってしまいます。
一方で、最初から美容目的で行う美容外科であれば、逆さまつ毛だけではなく様々な目元のお悩みを同時に解消する事も可能です。
逆さまつ毛を解消しつつ、より綺麗な理想の目元を目指したいという場合は、はじめから保険診療ではなく美容外科での受診を検討してみてはいかがでしょうか。
自然に逆さまつ毛は治る?
さかさまつげの症状に悩まされていても、その内に解消するだろうと思って放置する方は多いかもしれません。
しかし、逆さまつ毛は前述のように目元の組織そのものの形状から発生するトラブルである事が多く、自然に治るという事は多くありません。
まぶたの脂肪が厚くて引き起こされる「睫毛内反」については、加齢によってまぶたの脂肪が減少するなどの変化がおこれば解消の可能性もありますが、逆に目元のタルミが原因の場合はより悪化する可能性の方が高いといえます。
さかさまつげは放置しておくと眼球を傷つけてしまい、視力低下などのトラブルにも繋がる症状ですので、なるべく早めに治療を受けるようにしましょう。
逆さまつ毛のセルフケア方法
逆さまつ毛をなんとかセルフケアで改善したい時の方法としては、下記のようなものが挙げられます。
まつげを抜いてしまう
まつげの一部だけが反対を向く「睫毛乱生」などの場合、逆向きのまつげを抜いてしまえばひとまず症状は改善します。
ただし、また同じ方向にまつげが生えてくる可能性が高く、毛抜きによって毛根部分が炎症などを起こすと他の毛まで逆さまつ毛になってしまう可能性もありますので、ケアなどをしっかり行うようにしましょう。
まつげパーマやビューラーを使用
まつげパーマやビューラーでまつげを外向きにカールさせる事ができれば、逆さまつ毛によるトラブルを回避する事が可能です。
しかし、逆さまつ毛の方はまつげが眼球に近く掴みにくいため、慣れるまでケアが難しいかもしれません。まぶたを指で軽く裏返しながらまつげを掴むなど、やりやすい方法を見つけ出しましょう。
二重メイク
まぶたに折れ目をつくってノリやテープによって固定する二重メイクを行えば、まつげの向きも外側をむいて逆さまつ毛の改善が可能です。
逆さまつ毛を解消して理想の目元を目指すなら美容外科へ
逆さまつ毛の単純な解消であれば眼科や形成外科での治療がありますが、やはり理想的な目元を目指すのであれば、美容外科に相談の上でどのような目元を作っていくのかをご相談いただいた方が確実です。
目元は特に美容面で重要なパーツであり、仕上がりによって顔の印象が大きく変わりますので、さかさまつげをより綺麗に改善したいという方は、是非実績豊富な美容クリニックまでお問合せください。