コラム

COLUMNその逆さまつ毛は眼瞼下垂かも?セルフチェックで判定する方法

おでこにいつもシワがよってしまっていたり、ずっと頭痛がとれなかったり、まつげが目に入ってくる逆さまつ毛が気になったりする方、実はそれは眼瞼下垂の影響かもしれません。
加齢によって発生し、様々なトラブルへと繋がる眼瞼下垂ですが、今回はそのセルフチェック方法などについて詳しく解説していきますので、是非自分自身が当てはまるかどうかを確認してみてください。

眼瞼下垂とはどんな症状か

眼瞼下垂(がんけんかすい)という症状について聞いたことはありますか?
この症状は、簡単に言えばまぶたの皮膚が重力に従って垂れ下がった状態となってしまい、目を開けていてもまぶた(瞼)が十分に開かないという状態をさします。

なぜ瞼が十分に開かなくなるかというと、その原因はまぶたを持ち上げる筋肉と、まぶたの皮膚にあります。

筋肉が原因でまぶたが十分に開かなくなる理由

眼瞼下垂の主要な原因である「筋肉」ですが、通常、人が目を開く時には瞼の上の方にある「上眼瞼挙筋」という筋肉が脳からの電気信号に従って収縮して、この筋肉と瞼の中にある「瞼板」と呼ばれる固い組織を、「挙筋腱膜」という組織を通じて引っ張り上げる事で行われます。

ちなみに、この挙筋腱膜は途中で分岐して瞼板だけではなく、まぶたの皮膚方向にも伸びている場合と、分岐が無く瞼板の方にしか伸びていない場合があり、分岐して皮膚方向に伸びていると二重まぶたの構造となり、分岐がないと一重まぶたの構造になります。
つまり、人によってこの挙筋腱膜の形状は異なっているという事がわかります。

上記のように、まぶたは上眼瞼挙筋と挙筋腱膜の働きによって開くのですが、加齢などによって筋力が細く弱くなってしまったり、負荷にさらされ続けて伸びてしまうとまぶたを持ち上げようとしても十分に開く事ができず、常にまぶたが少し閉じた状態になってしまいます。
これが、筋肉が原因で引き起こされる眼瞼下垂の状態です。

こうした筋肉の状態変化は加齢だけではなく、目元に強い刺激が加わって筋肉や腱膜が損傷する事でも引き起こされます。
特に激しいスポーツや格闘技などで目元に強い刺激が加わる事が多いと、筋肉や腱膜の損傷による眼瞼下垂になる可能性が高くなるといえます。

皮膚が原因でまぶたが垂れ下がる理由

筋肉ではなく、皮膚が垂れ下がる事でまぶたを覆ってしまう事もあります。
皮膚は表皮、真皮、皮下組織という構造で出来ていますが、このうち真皮にはコラーゲンやエラスチンといった肌の弾力を保つための成分が存在しています。
コラーゲンやエラスチンは20代までは豊富に作られているのですが、加齢や紫外線ダメージなどによって真皮内細胞の代謝能力が低下すると、だんだんと作られる分量が減少していきます。

真皮内でコラーゲンやエラスチンが作られる量が減少すれば、まぶたはハリを失ってしまい、重力によって垂れ下がるようになってきます。

また、真皮の下にある皮下組織には皮下脂肪などが存在していますが、体質によってこの皮下脂肪の量が多ければ、その重みによって垂れ下がる形となります。

このように、肌のハリの減少や多すぎる皮下脂肪などの原因でまぶたの皮膚が下がると、これもまぶたが十分に開かない眼瞼下垂の状態となります。

眼瞼下垂は先天的のものと後天的のものがある

眼瞼下垂の症状は、必ずしも加齢によって生じるのではなく、先天的な眼瞼下垂と後天的な眼瞼下垂があります。
尚、皮膚の下垂による眼瞼下垂は「偽性眼瞼下垂」と呼ばれ、症状としては眼瞼下垂なのですが、筋肉の状態や働きによって生じる眼瞼下垂とは区別されます。

先天性眼瞼下垂症

眼瞼下垂と診断される方のうち、約2割は先天的(遺伝的)な原因による、先天性眼瞼下垂症といわれています。

先天性眼瞼下垂症は、遺伝的に生まれつき上眼瞼挙筋が弱かったり、筋肉を動かすための神経が十分に育たない事で、子供のころからまぶたが十分に開かず瞳孔の一部が隠れてしまうものです。
視野が狭かったり、目を開いていると肩こりなどの症状が出てくるといった自覚症状が出る事が多いほか、斜視や弱視などの症状にも繋がりやすいというリスクがあります。

場合によっては眼瞼挙筋によってまぶたを持ち上げる力が備わっておらず、おでこの筋肉で眉を持ち上げるようにまぶたを開かなくてならないようなケースもあります。

後天性腱膜性眼瞼下垂症

後天的な眼瞼下垂は、加齢や刺激によって筋肉が弱まったり、断裂してしまったり、神経の働きに異常が発生する事でまぶたが開かなくなるものです。

上眼瞼挙筋や挙筋腱膜が加齢によって弱くなったり、伸びてしまったりするという原因の他にも、前述のように強い刺激によって筋肉が損傷して断裂してしまう事や、脳梗塞などの症状で発生する神経麻痺の影響によって、筋肉を動かす神経の働きが低下してまぶたが十分に開かなくなる事もあります。

また、強い刺激ではなく弱い刺激が繰り返される事で損傷してしまうケースもあり、多い例としてはコンタクトレンズの装着によるものです。
これは特にハードタイプのコンタクトレンズを使用している場合に発生するケースですが、レンズによってまぶたの血管が圧迫される事で血行不良を引き起こし、これが原因となって筋肉の弱体化や損傷が引き起こされるといったものです。
また、目を強くこするクセがある場合などについても、繰り返しの刺激が筋肉へのダメージとなってしまい、眼瞼下垂の症状へと繋がる場合があります。

まぶたは繊細な毛細血管が非常に多い部位ですので、強い刺激や圧迫が加わるような行為はなるべく避けるようにしましょう。

眼瞼下垂で引き起こされる症状・トラブル

眼瞼下垂になると、様々な症状やトラブルがでてきます。一例として以下にご紹介します。

  • 視界がさえぎられる(特に上側が見えにくくなる)
  • まぶたが重く、眠そうに見える
  • 視力が低下する
  • おでこに常にしわができる
  • 頭痛や肩こりが常態化する
  • 目が乾きドライアイの状態になる
  • 常に目が疲れた状態(眼精疲労)になる
  • 逆さまつ毛で目がチクチクする
  • 慢性的な疲労感がでる
  • 口が半開きになる

このような症状は、全て眼瞼下垂によって目が開きにくくなることで引き起こされてきます。
肩こりや疲労感などはあまり関係が内容に感じる方もいると思いますが、眼瞼下垂によってまぶたが下がってくると、人は視界を十分に確保するために、おでこや頭部の筋肉を使ってまぶたを持ち上げたり、あごを少し上に上げるような姿勢をとってものを見るようになったりします。
これにより、おでこや頭部の筋肉がずっと緊張状態にある事になりますので、筋肉の疲労と血流の悪化によって、頭痛や肩こりといった症状に繋がります。
同様に、あごが持ち上がった姿勢によって口が半開きになりやすく、口呼吸が増える事でのトラブルに繋がる事もあります。

また、特に皮膚が下がってくる事で眼瞼下垂の状態になる場合、垂れ下がった皮膚にまつげが押しさげられ、逆さまつ毛の状態になってしまう事があります。
こうした様々なトラブルに繋がりやすい症状ですので、眼瞼下垂かなと思ったら早めにクリニックで相談し、解決した方が良いといえます。

眼瞼下垂のセルフチェック

眼瞼下垂のセルフチェックとしては、下記のような方法があります。

まぶたを開ける時におでこの筋肉を使っていないかをチェック

眼瞼下垂の場合、上眼瞼挙筋などの働きだけでは十分にまぶたが開かないため、無意識におでこの筋肉を使ってしまう状態となります。
そのため、下記の方法でチェックを行って、まぶたを開く時にどこの筋肉が使われているかをチェックする事で眼瞼下垂かどうかをセルフチェックする事ができます。

  • 1.軽く目を閉じる
  • 2.眉を軽く指でおさえる
  • 3.そのまま目を開く
  • 4.この時に眉が上に持ち上がるようであればおでこの筋肉が使われているため、眼瞼下垂の可能性が高くなります。
目を開いた状態で鏡をみてどの程度目が開いているかを確認

眼瞼下垂の判断は、主に目を開いた状態で瞳孔や眼球がどの程度隠れているかによって行われますので、鏡でチェックする事でセルフチェックが可能です。

チェックをする際には思い切り目を開いて確認するのではなく、普段通りに軽く目を開いた状態で鏡を見るようにしましょう。
この時、まぶたが瞳孔(目の黒い場所)近くまでかかっていたり、上瞼が上向きのアーチ状態になっていないようであれば、眼瞼下垂の可能性があるといえます。

眼瞼下垂の進行度合いのチェック

後天的な原因による眼瞼下垂は、加齢などによって徐々に進行していきます。
初期段階の軽度な状態では、目を開いた時にまぶたが瞳孔までは下がらず、多少重そうな眼といった印象になる程度。

これが進行して中程度になってくると、眉を持ち上げるように大きく目を開かないと、まぶたが瞳孔までかかってしまうような状態となり、この状態では確実に視界が遮られる形となりますので、自覚症状として明確に眼瞼下垂が分かるようになってきます。

さらに症状が進行すると、眉を持ち上げても十分に視界が確保できない形となり、日常生活を送るためにも治療が必須な状態になります。

眼瞼下垂は放置しておいても改善するものではありませんので、症状が出てきたら早期に医師に相談するとよいでしょう。

眼瞼下垂かな?と感じたら早めにご相談ください

眼瞼下垂はまぶたが下がって「視界がせまくなる」「見た目が眠そうになる」といった症状のみと考えられがちですが、放置しておくと慢性的な頭痛や疲労、そして視力の悪化など様々なトラブルに繋がる事もある症状です。
治療をする事で審美面はもちろん、健康面でのメリットも非常に大きいと言う事ができる症状ですので、まずは症状の正確な診断と最適な治療法を知るためだけでも、一度専門の医師にご相談ください。

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